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フリーランスも労災保険に入ろう|特別加入の対象・補償・加入方法をわかりやすく解説

フリーランスは、原則として会社に雇われる「労働者」ではありません。

そのため、会社員のように雇い主が労災保険の手続きをしてくれることもなく、自動的に労災保険の対象になるわけではありません。

しかし、仕事中にケガをしたり、仕事が原因で病気になったりするリスクは、会社員と同じです。

そこで利用できるのが、労災保険の「特別加入」です。

特別加入を利用すると、仕事中のケガや病気について、治療費の補償を受けられるほか、働けない期間の休業給付、障害が残った場合の給付、万一亡くなった場合の遺族給付などを受けることができます。

フリーランスと一口にいっても、建設業の一人親方、個人タクシーや軽貨物、デザイナー、ライター、エンジニア、カメラマンなど、働き方はさまざまです。

そして、利用する特別加入の区分は、仕事の内容によって異なります。

この記事では、フリーランスが利用できる特別加入の仕組みを整理し、自分はどの区分に当たるのか、どんな補償を受けられるのか、どこから加入すればよいのかをわかりやすく解説します。

参考:特別加入とは|会社員でなくても労災保険に入れる制度

参考:厚労省「労災保険への特別加入」

目次

フリーランスの労災保険

フリーランスというと、デザイナーやエンジニアなど、比較的新しい働き方をイメージする人もいるかもしれません。

しかし、会社に雇われず、自分で仕事を請け負って働く人は昔からいました。

代表的なのが、建設業などの「一人親方」です。

一人親方は、現在でいうフリーランスの先駆けのような存在です。

現在では、フリーランスとして働く人の仕事もさまざまです。

フリーランス
├─ 一人親方
├─ 個人タクシー・軽貨物
├─ デザイナー
├─ ライター
├─ エンジニア
├─ カメラマン
└─ その他の個人事業主

そして、こうした人たちが利用する特別加入は、一つではありません。

仕事の内容や働き方によって、加入する区分が異なります。

では、自分はどの特別加入の区分に当たるのでしょうか。

あなたの特別加入はどれ?

フリーランスが利用できる特別加入には、いくつかの区分があります。

これは、特別加入制度が最初から現在の形だったわけではなく、対象を少しずつ広げてきたためです。

もともとは、中小事業主や建設業の一人親方など、労働者ではないものの、労働者に近い形で仕事をする人を保護するために始まりました。

その後、対象となる職種や働き方が順次追加され、現在では一定のフリーランスも特別加入できるようになっています。

このように対象が段階的に拡大されてきたことに加え、仕事の種類ごとに災害のリスクが異なり、それに応じて保険料率も設定されています。

そのため、同じ「フリーランス」でも、仕事の内容によって利用する特別加入の区分が異なります。

大きく見ると、第2種特別加入には、

という二つのグループがあります。

一人親方その他の自営業者

こちらには、例えば、

  • 建設業の一人親方
  • 個人タクシー
  • 軽貨物などの個人貨物運送
  • 漁業
  • 林業
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師
  • 歯科技工士
  • 特定フリーランス事業

などがあります。

令和6年から対象となった「特定フリーランス事業」も、このグループの一つです。

デザイナー、ライター、エンジニア、カメラマンなど、従来の個別の特別加入区分に当てはまらなかった一定のフリーランスは、この特定フリーランス事業から加入できる場合があります。

ただし、建設業の一人親方や個人タクシーなど、すでに別の特別加入区分が設けられている仕事については、原則としてその区分から加入します。

参考:厚労省 特別加入制度のしおり一人親方その他の自営業者用

特定作業従事者

もう一つが、特定の「作業」に着目して設けられている特別加入です。

例えば、一定の農作業や家内労働など、法律で定められた作業に従事する人が対象になります。

こちらは「どんな職業か」というよりも、「どのような作業に従事しているか」で対象が決まるのが特徴です。

まずは、自分の仕事が、

  • 一人親方その他の自営業者のどの区分に当たるのか
  • 特定作業従事者に当たるのか
  • それとも特定フリーランス事業に当たるのか

を確認することが、特別加入の第一歩です。

参考:「特別加入制度のしおり特定作業従事者用

特定フリーランス事業に該当する人

令和6年11月からは、従来の一人親方や特定作業従事者などの区分に当てはまらない一定のフリーランスも、「特定フリーランス事業」として特別加入できるようになりました。

対象となるのは、基本的に企業等から業務委託を受け、自分で仕事をしているフリーランスです。

例えば、

  • デザイナー
  • ライター
  • エンジニア
  • カメラマン
  • 動画制作者
  • コンサルタント

などが考えられます。

ただし、「フリーランス」と呼ばれていても、実際の働き方によって労災保険上の扱いは変わります。

実態が労働者である場合

業務委託契約という名前になっていても、発注者の指揮監督を受けているか、働く時間や場所が拘束されているか、報酬が労務の対価となっているかなど、実際の働き方を総合的にみて「労働者」と判断されることがあります。

労働者であれば、特別加入ではなく、雇い主の労災保険の対象になります。

契約書に「業務委託」と書いてあるかどうかだけでなく、実際にどのように働いているかが重要です。

参考:厚労省 労働基準法における「労働者」とは

参考:厚労省 働き方の自己診断チェックリスト(フリーランスの方向け)

自分で業務委託を受けて仕事をしている場合

企業等から業務委託を受け、自分で仕事をしている場合は、特定フリーランス事業の特別加入を利用できる可能性があります。

ただし、建設業の一人親方や個人タクシーなど、すでに別の特別加入区分が設けられている仕事については、その区分から加入します。

労働者を使用している場合

自分が事業主となって労働者を使用している場合は、労働者を使用する日数などによって扱いが変わります。

1年間に労働者を100日以上使用する場合は、中小事業主等の特別加入を検討することになります。

一方、労働者を使う日数が年間100日未満で、一人親方等の要件を満たす場合は、一人親方等として加入できることがあります。

つまり、同じ「フリーランス」と呼ばれる人でも、

  • 実態は労働者なのか
  • 自分で業務委託を受けて働いているのか
  • 労働者を使用して事業を行っているのか

によって、労災保険への入り方が変わります。

自分がどの区分に当たるのか判断しにくい場合は、特別加入団体や労働保険事務組合に確認してから手続きを進めると安心です。

消費者からの直接受注は原則対象外

特定フリーランス事業の対象となるのは、基本的に企業等から業務委託を受けて行う仕事です。

そのため、消費者個人からしか仕事を受けていない事業は、原則として特定フリーランス事業の対象外です。

ただし、企業等から受けている仕事と同じ種類の仕事を個人客からも受けている場合は、その個人客向けの仕事も補償対象になる場合があります。

複数の仕事をしている場合

複数の仕事をしている場合は、仕事の種類ごとに、必要な労災保険の加入を確認する必要があります。

フリーランスの中には、複数の仕事をしている人もいます。

例えば、

  • 建設業の一人親方をしながら、動画編集もしている
  • 軽貨物の仕事をしながら、Web制作もしている
  • 会社員として働きながら、副業でフリーランスの仕事をしている

といった場合です。

会社員として働いている仕事は、勤務先の労災保険の対象になります。

一方、副業として行うフリーランスの仕事は、勤務先の労災保険では補償されません。必要に応じて、その仕事に対応した特別加入を検討します。

また、複数のフリーランス業務を行っている場合も、注意が必要です。

例えば、建設業の一人親方としての特別加入は、建設業の仕事についての補償です。別の仕事まで自動的に補償されるわけではありません。

特別加入では、加入している区分の仕事が補償の対象になります。

複数の仕事をしている場合は、それぞれの仕事について、どの区分で加入する必要があるのかを確認しましょう。

次に、特別加入すると、具体的にどのような補償を受けられるのかを見ていきます。

参考:厚労省 「特別加入制度のしおり一人親方その他の自営業者用」 特別加入者の範囲」(注5)特定フリーランス事業に係る特別加入に当たっての留意点  

特別加入すると何が補償される?

特別加入すると、仕事中のケガや病気について、通常の労災保険とほぼ同じような給付を受けることができます。

主な給付は、

  • 療養等給付
  • 休業等給付
  • 障害等給付
  • 遺族等給付
  • 介護等給付
  • 葬祭給付

などです。

ここで覚えておきたいのは、給付基礎日額に関係なく受けられるものと、給付基礎日額によって金額が変わるものがあるということです。

治療費は給付基礎日額に関係しない

仕事中のケガや病気が労災として認められれば、必要な治療について療養等給付を受けることができます。

健康保険で治療を受ける場合は、原則として医療費の3割を自己負担します。

一方、労災保険では、労災指定医療機関で受診すれば、原則として窓口での自己負担はありません。

労災指定医療機関以外で受診した場合も、いったん治療費を全額支払い、その後に請求することで支給を受けることができます。

つまり、給付基礎日額を低く設定していても、治療費の補償が少なくなるわけではありません。

休業・障害・遺族の給付は日額で変わる

一方、

  • 仕事を休んだとき
  • 障害が残ったとき
  • 万一亡くなったとき

などの給付額は、加入するときに選んだ給付基礎日額をもとに計算されます。

給付基礎日額を高くすれば、受けられる給付も大きくなります。

ただし、その分、保険料も高くなります。

そのため、給付基礎日額は、どの程度の補償を確保したいかと、どの程度の保険料を負担するかを考えて選ぶことになります。

自分に過失があっても対象になる

労災保険は、本人に過失があるかどうかではなく、仕事が原因の災害かどうかで判断します。

そのため、自分に大きな過失があった場合でも、仕事が原因の災害として認められれば、原則として給付の対象になります。

例えば、仕事中の交通事故で自分の過失割合が100%だったとしても、それだけを理由に労災保険の給付が受けられなくなるわけではありません。

これは、仕事中の事故に備えるうえで、労災保険の大きな特徴の一つです。

特別加入していないとどうなる?

フリーランスが特別加入していない場合、仕事中のケガや病気であっても、労災保険の給付を受けることはできません。

ただし、特別加入していないフリーランスは、通常は勤務先の健康保険や国民健康保険を利用して治療を受けることができます。

その場合、医療費は原則として3割を自己負担します。

一方、特別加入していれば、仕事中のケガや病気が労災として認められた場合、労災指定医療機関では原則として窓口での自己負担はありません。

さらに大きな違いは、治療費以外の補償です。

特別加入していなければ、

  • 仕事を休んだときの休業等給付
  • 障害が残ったときの障害等給付
  • 万一亡くなったときの遺族等給付

といった労災保険の給付は受けられません。

フリーランスにとって、仕事ができないことは、そのまま収入の減少につながることがあります。

特別加入は、治療費だけでなく、働けなくなったときの生活や収入にも備えるための制度です。

加入先を探そう

特別加入は、自分の仕事に対応した特別加入団体を通じて手続きを行います。

まずは、自分の仕事がどの特別加入区分に当たるのかを確認し、その区分を扱っている団体を探します。

例えば、

  • 建設業の一人親方なら、建設業の一人親方団体
  • 個人タクシーや軽貨物なら、その業種に対応した特別加入団体
  • 特定作業従事者なら、その作業を対象とする団体
  • 特定フリーランス事業なら、特定フリーランス事業を扱う団体

というように、仕事の内容によって加入先が変わります。

なお、特別加入は、本人が労働基準監督署へ直接申し込むのではなく、こうした団体を通じて手続きを行う仕組みです。

厚生労働省では、全国の特別加入団体を一覧で公開しています。

自分がどの団体に加入すればよいかわからない場合は、まずこの一覧から、自分の仕事や地域に対応した団体を探してみましょう。

団体によって、対象となる仕事や対応地域、会費などが異なる場合があります。

複数の団体が見つかった場合は、補償の対象となる業務範囲や費用、手続き方法などを確認して、自分に合った団体を選びます。

加入先が決まったら、必要な手続きを行い、給付基礎日額を選択します。

参考:厚労省 特別加入団体一覧表

参考:厚労省 特定フリーランス事業の特別加入団体についてはこちら

加入するときに決める給付基礎日額

特別加入では、会社員のように賃金をもとに給付額を計算することができません。

そのため、加入するときに給付基礎日額を選びます。

給付基礎日額によって、休業等給付や障害等給付、遺族等給付の金額と保険料が変わります。

一方、療養等給付は給付基礎日額の高低に左右されません。

給付基礎日額や保険料は、加入する区分の「特別加入制度のしおり」で確認できます。

まとめ

フリーランスは、原則として会社に雇われる労働者ではないため、会社員のように自動的に労災保険の対象になるわけではありません。

しかし、現在は特別加入制度を利用することで、一定のフリーランスも労災保険に加入できます。

フリーランスといっても、

  • 建設業の一人親方
  • 個人タクシーや軽貨物
  • 特定作業従事者
  • デザイナー、ライター、エンジニア、カメラマンなどの特定フリーランス事業

など、仕事の内容によって利用する特別加入の区分が異なります。

また、複数の仕事をしている場合は、一つの特別加入ですべての仕事が補償されるとは限りません。加入している区分の仕事中に起きた災害が補償の対象になるため、それぞれの仕事について加入区分を確認する必要があります。

特別加入すると、仕事中のケガや病気について治療費の自己負担が原則なくなるほか、休業、障害、遺族への給付なども受けられます。

給付基礎日額によって休業・障害・遺族などの給付額や保険料は変わりますが、治療に必要な療養等給付は給付基礎日額の高低に左右されません。

加入する場合は、自分の仕事がどの区分に当たるのかを確認し、その区分を扱う特別加入団体を探して手続きを行います。

フリーランスだから労災保険に入れない、というわけではありません。

仕事中のケガや病気は、収入や生活にも大きく影響します。

まずは自分がどの特別加入の対象になるのかを確認し、仕事中の万一に備えて、特別加入を考えてみましょう。

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この記事を書いた人

【仕事は学び 仕事を遊ぶ 自由に働く】
やりたいことを、やりたいときに、やりたいように。

IT開発や品質管理の経験を経て、
「技術から人へ」とシフトしキャリア支援へ活動を展開。
現在は労災や働き方支援にも取り組んでいます。

技術・人・制度の視点から、
仕事やキャリアの悩みどころを整理しています。
人の問題に見えることを、構造として捉えたい、という視点で書いています。


資格
・2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)
・技術士(総合技術監理部門/情報工学部門)


👉 詳しいプロフィールはこちら
https://yutori.org/hrskad

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